Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

明治安田生命エイト、4連覇達成、おめでとう!

oyajisculler2006-06-12

昨日、LBRCエイトの乗艇練習を終えてから、全日本選手権の決勝レースを観戦した。一番の注目は男子エイト決勝。明治安田生命エイト(以下MY生命)の4連覇達成が掛かったレースだ。おやじ自信も1982年、20年以上前にT大エイトとして史上初の4連覇を達成したが、なかなか難しいものである。圧倒的な力を持っていても一瞬のミスオール等、不運なアクシデントで達成できないこともあるので、その達成は偉業と言える。
さて、MY生命クルー、昨年の秋から夜間乗艇練習で、その普段の練習を見ていたが、今年のオフシーズンのトレーニングは例年にも増して激しいトレーニングをしていたと感じた。

決勝レースを見て:

Attention Go!の瞬間、一番反応が速くオールが動き始めたのが、MY生命。5本、10本と漕いだところで1シート位先行しただろうか?その後、250m付近からNTTが大きなレンジでグイグイ艇速を上げてきた。対するMY生命はハイピッチ漕法と見え、レートは高いがやや短めのレンジで漕いでいる様に見えた。
500mを過ぎてからNTTが出始め、750m付近でカンバス差リードしたかに見えた。NTTは750mを過ぎたところから水中が鈍り始める。エントリーのブレードワークの正確さは他を圧倒しているが、水中、特にフィニッシュハーフの押し切りが弱い様に見えた。MY生命はここで艇速を落とすことなく、淡々と漕ぎ進め、1000mでNTTを捕らえる。
1000mを過ぎてからも徐々にNTTに対してリードを広げる。
1500m通過時の艇差がカンバス差。ラストQに入ってすぐにMY生命がNTTを突き放しに掛かり、早めのスパートに入る。この辺りは毎年勝っている王者の勝負勘と言えよう。対するNTTは追う立場であり、逆に早めに仕掛けなければならないところをMY生命の早めのスパートで徐々に差を広げられ、1750m付近で約半艇身差となった。この辺りからNTTが少しずつレートを上げ、徐々に差を詰める。最後の最後、ラスト100mでNTTが怒涛のラストスパートを入れるが時既に遅し、カンバス差でMY生命が先にゴールイン。MY生命はラスト50mでやや艇速が落ち始める、即ち、それまでに全力を尽くした理想的なペース配分で2000mを漕ぎきった様に見えた。
今回、勝敗を分けたのは、技術や体力というより、勝負に対するクルー全員の執着心、及び、事前のレース戦術に対するクルー全員の徹底度合いの差がカンバス差という僅差に凝縮されていたと思う。

優勝クルーのリギング・オール仕様:

昨年、春に強豪クルーのリギング及び使用オールを調査した。今年MY生命が使用していたオールは昨年使っていたモノと同じであり、恐らくリギングも変えていないと思う。参考までに昨年調査したデータは下表の通り。

オール全長373cm, ブレードはSmoothie+Vortex Edge、シャフト硬さはmediumと聞いた。平均身長180cm、体重75kg程度の日本人クルーが全日本で4連覇するスペックは上記の通りである。

MY生命に勝つにはどうすれば良いか?

さて、本件について、おやじの勝手な考えを述べたい。MY生命のレース運びや漕ぎを見ると、殆ど隙らしい隙は見えないが、もし、同程度の練習錬度及び漕力を有したクルーがいたとしよう、どうしたら、更に上のスピードを出し、勝負に勝てるかを考えて見た。

  1. MY生命はショートレンジでハイレート漕法:レース中、如何なる局面でもアタックできるという意味において、この漕法は有効である。一方で、高速の巡航速度を維持しようとした時にレンジ不足でやや効率が悪い様に見えた。おやじの考えではリガースプレッド(84cm)、インボード(114cm)を後1cmずつ短くしてRS:83cm、インボード113cm程度にしてキャッチ角をもう少し大きめにした方がもっと艇速が伸びる様に思う。この辺り、最近の国内クルーは長めのインボード志向しているが、手足の短い日本人はもう少し短めのインボードの方が良いと思う。
  2. #3Qのタイム落ちが大きい:MY生命クルーは今回決勝に進出した4クルーの中では#3Qのタイム落ちが一番小さかったのではあるが、世界レベルのクルーに比べると#3Qのタイム落ちが大きめである。この辺り、MY生命にチャレンジするクルーは無理しても#3Qでもっと飛ばしてトップを奪い返す位のアタックが欲しいところ。この辺はエルゴの記録を伸ばして強靭な体力でカバーする以外になさそう。

上記2点程度しか隙は見当たらない。それだけMY生命クルーの完成度は高いということだ。
以上