Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

公認コーチ制度に関する情報

oyajisculler2006-02-04

日ボのHPを見ると、公認コーチ養成講習会の案内が定期的に掲示されている。「公認コーチ」なる言葉の意味が分からないので日ボに問い合わせたが、日本体育協会の公認指導者制度に則ってやっているとの回答だけで日ボとしての主体性が不十分と思った。日ボとしての目的とか、この公認コーチをどの様に活用してゆきたいかが、日ボのHPの中で見当たらない。この公認コーチの資格を得るためには、日体協の共通科目講習会(5日間)と通信教育3ヶ月程度、日ボの専門科目講習会(5日間)、費用は講習会費約3万円、資格登録料約1万円が必要となる。資格を得ようとするとそれなりの覚悟が必要という訳だが、前述の通り、日ボとしての目的や扱いが表に出ておらず、おやじのLBRCや母校T大から公認コーチ講習会を受講させるべきかどうかについて判断しかねるところである。
以下、おやじが調べた日体協の公認コーチ制度関連情報、及び日ボの公認コーチ関連の情報(偏った情報かもしれないので悪しからず)について纏めたい。

日本体育協会について:

http://www.japan-sports.or.jp/index.aspは、オリンピック大会参加を契機として、明治44(1911)年7月に嘉納治五郎を初代会長として創立された団体。昭和21(1946)年の国民体育大会(国体)開催以来、国体運営の中心役を担っている。スポーツ指導者の育成、生涯スポーツの振興、国際スポーツ交流、スポーツ医・科学の研究など、諸事業を幅広く進めている。なお、平成元(1989)年に日本オリンピック委員会JOC)は本会組織から分離・独立し、オリンピックへの選手団の編成・派遣と、競技者の育成を担っている。おやじの感触では、大学ボート部関係者はJOC→日ボ→大学ボート部の関係が色濃いが、高校ボート部はどちらかと言うと、日体協→(日ボ)→国体→都道府県体協→高校ボート部の繋がりが強い様に想像する。

日体協の公認スポーツ指導者制度:

さて本題の公認コーチは、日体協の公認スポーツ指導者制度で規定されるものであり、日体協のHPにこの制度の本文http://www.japan-sports.or.jp/coach/pdf/1.pdf掲示されている。この制度の目的は下記。

  1. 各競技別スポーツの普及発展に即応する指導体制を確立すること。
  2. 多様なスポーツニーズに対応した指導者を一貫したシステムにより養成し、その資質と指導力の向上をはかること。
  3. 指導者の各組織内における位置づけと役割に応じた資格認定を明確にし、社会的信頼を確保する。
  4. 種類別、地域別、競技別に指導者の組織的連携をすすめ、活動促進をはかること。

そして公認指導者の種類と役割が記載されている。但し、コーチは「地域において、競技者育成のための指導にあたる者」としか書かれていない。分かり難いとの声があったのか、別途公認指導者制度の解説http://www.japan-sports.or.jp/coach/pdf/1_kaisetsu.pdfも併せて掲示されている。これにはもう少し詳しく役割が解説されている。

  • コーチ:各競技団体の都道府県レベルにおける競技者育成を担当する方の為の資格です。広域スポーツセンターや各競技別のトレーニング拠点において、有望な競技者の育成にあたる方、広域スポーツセンターの巡回指導に協力する方、国民体育大会の監督にあたる方など高いレベルの実技指導をする方にはぜひ取得していただきたい資格です。
  • 上級コーチ:国際大会等の各競技会における監督・コーチとして、競技者が最高の能力を発揮できるよう、強化スタッフとして指導にあたるなど、中央競技団体におけるナショナルレベルのトップコーチのための資格です。各競技団体のナショナルレベルのトレーニング拠点などにおいて、各年代で選抜された競技者の育成強化や各競技団体で競技力向上策の開発に参画する方などにぜひ取得していただきたい資格です。

日ボHPに掲示されている公認コーチ育成について:

本ログの巻頭で、日ボの目的が不明瞭だと言ったが、参考までの日ボがHPに掲示している表現は下記:

  • ボート競技の普及・振興に欠かせぬ指導者養成を、(財)日本体育協会(以降、日体協と称す)との共催による、公認スポーツ指導者制度に則とり進めてきました。少子高齢化の進行や顕著な企業間格差が生じる国内経済状況など、スポーツを取り巻く環境変化に順応し、且つ、時代のNeedsに適応した知識・技能を有する指導者養成を目的に、日体協は本平成17年度から新たな制度を導入しました。制度改定に的確な対応を図るべく、改定の骨子ならびに、当.日本ボート協会が立案した対応策案をHP上に掲載し、広く全国漕友の皆様からのご意見を聴取し検討を重ねて参りましたが、下記のとおり最終決定致しました。この間、多くの貴重なご意見を頂戴したことに対し、心から感謝申し上げますとともに、新たな制度に則とる指導者養成事業に対し、従前にも増してのご協力を賜りますようお願い申し上げます。

冗長に書いているが、目的や方針と言えるものは明記されていない。H18年度の講習会の案内http://www.jara.or.jp/info/fukyu/H17kousyuukai/0626apply.pdfの巻頭に書かれているのは:

  • 競技者の競技能力を正しく把握し、目先の競技成績にとらわれることなく、競技者が保持する資質と能力が100%開花する将来を念頭においた指導ができる指導者の育成を図ってまいります。

気持ちは分かるが、公認コーチの目的全体を表しているものではない。日ボの場合は、どういう手順で公認コーチの資格を得られるのかという、How toは書かれているが、日ボとしてこの公認コーチを育成する目的や方針という大前提が抜けている様にしか見えない。

他競技団体の公認コーチ制度の扱い:

上記の通り、日ボのHPには公認コーチの扱いが明記されていないので、他の競技団体はいったいどうなっているのかなと興味半分で調べてみた。この中に日本水泳連盟(水連)のHPの中に競技力向上コーチ委員会のサイトがあり、この中に水連の公認コーチに関する規定書http://www.swim.or.jp/06_info/index.html掲示されていた。これを読めば制度の目的から取得に至るHow toまで全て分かる様になっており、簡潔明瞭で素晴らしいものだ。参考までに目的と、コーチの役割に関する記述は以下の通り。

  • 目的:日本水泳界の競技力を向上し、世界の水泳界をリードする競技者を発掘・育成・指導するためには、その指導者もまた世界のトップレベルの技量・人格の持ち主であることが求めらる。本規定にはかかる指導者が輩出することを期するとともに水泳指導者の社会的地位の向上を図ることを目的とする。
  • コーチ:科学的・合理的な水泳指導理論を身につけており、競技者の発掘・育成・指導に当たることのできる能力を備えたものであることを本連盟が公認したコーチをいう。
  • 上級コーチ:豊かな実戦経験あるいは優秀競技者・チーム等の育成実績をもち、かつ高度な専門知識・技量・指導力を有して日本を代表する競技者の育成・指導の経験を有するとともに、人格・識見とも優れた日本を代表するコーチとして本連盟が公認したコーチをいう。

分かり易く簡潔で良い。日ボもこれに倣って規定書を纏め、HPに常時掲示すべきた。(もしかしたら規定書はあるのかも知れないが。。。)

日ボの公認コーチ育成状況:

母校T大OBの中で、本公認コーチの資格を得ている者を知らないので詳しい事は分からぬが、どうやら公認コーチを受講するのは、高校ボート部のコーチが多い模様。日体連のコーチの解説にある通り、国体の監督は公認コーチが望ましいということもあり、高校のコーチが積極的に資格を得ようとするのだろう。おやじの推察だが、公認コーチを取得した高校チームの戦績が向上し、他の高校も口コミで受講して資格を得ようとする者が多いのだろう。地方に住んでいて、中々、情報が得られないのでコーチ講習会の場で最新の技術情報を得ようとすることもあるかも知れない。高校コーチに公認コーチが普及することで、最近の高校ボートは、昔に比べると物凄くレベルアップしている。公認コーチ制度の成果と言って良い。(昔は間違った教え方で、悪い癖がついて大学では通用しない漕手が多くいた)
一方、大学ボート部の方は、卒業したOBがボランティアでコーチをするケースが殆ど。特に旧国立大学の場合、大学からボートを始める部員が多いので、国体にはあまり縁が無い部員が殆ど。従い、一般知識として公認コーチの存在も良く知らない。また、上記でおやじが書いた通り、日ボが公認コーチに関する目的や方針を明確にしていないこと等もあいまって、大学ボート部コーチの公認コーチ研修の受講が余り盛んでないのだと思う。サラリーマンが多いので、最初に述べた様な長時間拘束される研修会には、なかなか参加出来ないということもあろう。
予断だが、高校から優秀な選手が戸田の強豪私立大学ボート部に推薦入学しているが、高校スカラーのレベルがアップしているにも拘わらず、意外に大学エイトのレベルがおやじが学生の頃とあまり大きな差が無い。(昔から、エイトは6分を切ったり、切らなかったりのレベル)艇やオールが大幅に改善されていることを勘案すると、寧ろレベルが低下している部分もあるのかも知れない。この辺り、公認コーチ制度の成果でレベルアップした高校コーチの方から見ると、「俺が育てた優秀な選手を大学ボート部が潰している」という風に見えるのだろう。そういう声が良く聞こえるということだ。幸か不幸かT大にはそういうシチュエーションは殆ど無いが。。。

大学コーチも公認コーチ資格を取得しよう:

全般論ではあるか、今や大学ボート部のコーチは、公認コーチの資格を取得した高校コーチに対してコーチングノウハウが、より優れているとは言えないのが実情の模様。勿論、最近少しずつ増えつつあるプロコーチや、公認コーチを取得した大学コーチを除いての話である。こつこつと自分で勉強して公認コーチより優れた大学コーチも極一部いるかも知れないが、サラリーマンが多いし、何年か置きにコーチも交代するので個人の努力に頼っていては何れ尻すぼみになる。これを避けるため、また、大学ボートをレベルアップさせるためにも、大学ボート部のコーチはできるだけ公認コーチ研修会に参加すべきだと思う。
おやじ自身も申し込もうかと少し考えたが、全くの自分自身の興味のために仕事を休むのも、如何と思い、今年は受講しないことにした。当面は、個人の努力の範囲でボートに関して勉強したいと思う。(その方が勝手な事を言えるので面白いとも言えるが。。。)
一方で、T大の若手OBに公認コーチ講習会を受講させようかと考えている。