Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

POTOMACのリギング変更作業について

oyajisculler2005-11-24

今週土曜日にLBRC Aクルーが使用するエイト(POTOMAC号)のリギング変更作業を行う。
リギング変更の数値は11月21日のログに記載した通り。オールについては昨日リギング変更したので、土曜日の作業は艇のリギング変更のみ。LBRCのメンバーは必ずしも全員がリギング調整の玄人ではないので、リギング変更作業を行うための手順を纏める。以下、作業手順の順番で記載する。

先ずバックステーを外す:

P号はVespoli製であり、バックステーはネジ伸縮方式。このタイプはバックステーを外す前に伸縮部の固定ナットを先ず緩めてから、バックステーを外す。バックステー調整の要点は下図参照。

クラッチ軸の外傾チェック及び調整:

全シートのクラッチを外し、クラッチ軸が露出させる。この上で艇を水平にセットし、後方から全シートのクラッチ軸を見通す。クラッチ軸の外傾は1度〜2度は許容範囲とし、これからズレて大きく外傾した軸(リガー)については、リガー取り付け基部にウェッジプレートを挟み、外傾角を調整する。(Martinoli製のウェッジプレートを既に調達済み)

リガースプレッド(RS)の変更:

現状のRSは84.5cmとなっている筈だが、念のため計りなおす。今回、83.5cmとするので、1cm程度RSを短くする。計測した現状RS値と83.5cmの差分を計算し、この差分をビニルテープでRS伸縮部にマーキングする。この上でRS伸縮部の固定クランプを緩めてRSをマーキングに合わせて、83.5cmに変更する。RSを変更する際、軸の前後傾がズレルので、目視で前傾ゼロ度になる様にしてクランプで固定する。(このVespoli式のRS伸縮部、クランプを締め付けると微妙に前傾角がズレ易い問題がある)

ワークハイトの調整:

ワークハイトを下記の値になる様に、各シートで調整する。

  • 整調ペア:17.5cm(Rowing中のピッチング運動の他、COXが設計体重より少し重いのと、整調ペアはBowペアより体重が重いので、船尾が沈み易い事に配慮したもの。)
  • ミドルフォア:17.0cm
  • Bowペア:16.5cm(整調ペアを高めにするのと、同じ理由で逆にハイトを低めにする)

キャッチ角、フィニッシュ角をガンネルにマーキング:

11月19日のログに書いた三角定規を使って、キャッチ角、フィニッシュ角をガンネルにマーキングする。今回はクラブチーム用の50度+30度の三角定規を使う。手順は以下の通り(全シートで実施):

  1. ガンネルに角材2本を載せ、この上に三角定規を載せる。三角定規の長辺を艇のセンターライン(キールライン)に合わせる。
  2. オールをクラッチに入れ、キャッチ角50度設定の三角定規の一辺とオールが平行となる様にし、この位置で漕手から見てシャフトの手前側とガンネルの交点を上から見通す。この位置にビニルテープをシャフトと平行となる様にして貼り付ける。
  3. 同様の要領でフィニッシュ位置30度となる位置でのオールとガンネルの交点にビニルテープを貼り付ける。

水上でストレッチャー位置最終調整:

実際に出艇して、先ず上記のストレッチャー仮調整の状態で漕いで見る。身長が低く、レンジが短い漕手については、自然なフィニッシュ体勢を取った時に、所定のフィニッシュ角(今回は30度)が取れる様にストレッチャー位置を調整しなおす。(上記の簡易式で概ね合う筈)そして、所定のキャッチ角が取れる様にキャッチで頑張る。身長が高く、レンジが長い漕手(身長182cm以上の大型漕手)については、フルレンジで漕ぐと50度、30度の角度を軽くオーバーしてしまう。クルーの中でオールの振り各を合わせる必要があるので、大きな選手は、クルーで決めたキャッチ角、フィニッシュ角でレンジを切った時に、最も漕ぎやすい位置になる様にストレッチャー位置を調整しなおす。この乗艇で決めたストレッチャー位置が最終的に当該漕手の最適PTH値ということになる。因みに、キャッチ角、フィニッシュ角が変わるとPTH値が変わってくるので、クラブ毎或いはクルー毎に、キャッチ角、フィニッシュ角の基準を決めた上でPTHを調整することが前提。世界のエリートクラスはキャッチ角55度、フィニッシュ角35度で漕いでいるとの由。
以上