LBRCの若手クルーがこの冬場から荒川で練習する機会が増えそうでもあり、練習で荒川
に出艇する際の留意事項とハザードマップを纏めようと思う。
荒川での練習は危険が伴う:
最近、荒川で死亡事故を起こしたという話は、おやじの耳には入って来ないが、練習中のクルーが死に至る事故及び艇を大破するの可能性として下記の様なものがある。(何れも、実際に事故が発生した事例を記す)
- 艇庫から道路を渡って荒川に陸送する途中で、道路を横断するが、ここで交通事故に会う可能性はゼロではない。今は横断歩道に信号機がついているのでかなり安全になったが、信号機が無かった時代はここを横断する際に自動車に轢かれる事故が何度かあった。
- 春先など、強風の日に土手を横断する際に、突風でボートを飛ばされる。
- 岸蹴り場の石段の下段の方は表面にヌメリがある。ビーチサンダル等、ソールが滑りやすいものを履いていると足元を滑らせて転倒しやすい。(転ぶと頭を強打する可能性あり)
- 無精して、浅いところから蹴りだすと、船底やフィンを川底の石等に擦る可能性が高い。
- 荒川は東京湾の潮位の干満の影響を受ける。特に大潮時の干潮時刻と出艇が重なる場合、岸蹴りや揚艇、並びにインカーブなど浅瀬に近づき過ぎると座礁する危険性あり。
- 戸田橋〜笹目橋間は水路の幅が広いため、強風が吹くと白波が立つほど大きな波が発生することがある。
- 見通しの悪いカーブ等、逆コースをショートカットするクルーと順行するクルーと正面衝突する可能性がある。特に互いが舵手無し艇の場合は、「逆コース=事故」と肝に命じるべし。
- 最近は聞いたことがないが、厳冬期の早朝は、青船台より上流では水面が凍りつくことがある。水面が凍りそうな気配を感じたら、直ちに引き返すこと。ヘタをすると舳先のスキンを氷で傷つける可能性あり。
- 川の流れと風が喧嘩する状況になると、短時間で大きな波が立つことがある。この様な状況でUターンする際は十分に注意して、しかも素早く艇を反転しないと、横波を食らって沈する危険性がある。また、新人等の素人クルーの場合は操船困難に陥り、浅瀬に吹き流されで座礁することもある。
- 平日の早朝はタンカーの往来がある。大型船舶は急に曲がったり、止まったり出来ないので、早めに回避する。引き波も非常に大きいので、縦に並みを受けると船体に過度の曲げ応力が生じると共に、波がガンネルを超えて浸水する。
<以下、具体的な事故防止策を述べる>
陸送時の履物:
ビーチサンダルは滑って転倒するので不可。サンダルは靴裏に滑り止めのパターンが確りついているものが好ましい。おやじが学生の頃は荒川へ陸送する際は長靴が定番だった。
岸蹴り、及び揚艇時は膝まで漬かる:
冬場は水温が0度近くになることもあり、足を水に漬けたくない気持ちは理解できるが、特にエイトは喫水線下深くまでフィンが伸びているので、少なくとも膝が隠れる水深が確保出来るところから蹴りだす必要あり。
右側通行を遵守し、絶対に逆コースには入らない:
荒川は水路が広いので、逆コースに入らざるを得ないという状況にはならない。ショートカットして逆コースに入ることは絶対にしてはならない。大学のコーチは右側通行を守らず逆コースに入っているクルーを見たら、他のクラブの選手でも喧しく注意するべきである。これは選手の命を守るための躾である。
古い杭が残っている水域には近づかない:
黒船台下流の東京側には、昔の川岸護岸用の杭が残っているところがあり、春先の大潮の干潮時に杭が顔を出すことがある。また、大曲上流の昔「四角い森」と呼んでいた辺りの埼玉側には昔の船台の杭が、岸から10m近くまで伸びている。これも干潮時に注意すべし。
インターネットの気象情報を事前にチェック
最近はローカルな気象予報をインターネットで調べられるので便利である。天気と併せて風向・風速及び気温を事前に調べるべきである。おやじは出艇の前夜に必ず戸田の気象情報をチェックしている。戸田市の天気 - Yahoo!天気・災害
潮時・潮位をチェック:
インターネットで東京湾芝浦の潮位を事前にチェックする。釣具屋に行けば潮見表を売っている。おやじの調べたところでは、荒川笹目橋付近の干潮時刻は、芝浦の干潮時の約2時間後となる。目安としては、芝浦の干潮から2時間後までは荒川も干潮となると覚えておくと良い。特に大潮の最干潮時が午前中となる4月10日前後(潮干狩りの季節)は最も潮位が下がるので、出来れば出艇は避けたいところ。(芝浦の潮位数値が10cmを切る時間帯は危ない)
http://www2q.biglobe.ne.jp/~ooue_h-h/i/tide/s_tide.cgi?6&sibaura&0&0&13 :芝浦の潮汐グラフ
http://www.mirc.jha.or.jp/cgi-bin/online/LE/w-tide?URL=%2Fonline%2Fw%2Fw-tide%2Fstd%2Fkanto_tokai.html&PORTCODE=1302&DAYS=14&MODE=TABLE
大型船舶の往来時は早めに避ける:
タンカーや水上バス等の大型船舶と針路が交錯する場合は、早めに相手の操船者が認識できる様に明確な回避行動を取る。(進行方向右側へ舳先を向けて回避の意思を明確に示す。)また、大型船舶のフルスピード時の曳き波に縦に突っ込むと波がガンネルを超えて浸水すると共に、大きな曲げ応力を生じて、ヘタをすると、ボートを折損する可能性もあるので、大波に対しては、必ず艇を波と並行にして乗り切る。尚、波を避ける際に川岸に近づきすぎると座礁する恐れもあるので、狭い水路で大型船舶と交錯しない様にする。尚、大型船舶は喫水が深いので、浅瀬のある戸田橋の岸蹴り場付近は東京側を通るので、ここでタンカーと行き交う場合は、標識ブイより埼玉側に回避した方が良いと思う。)