Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

整調の役割:

文字通り、クルーのリズム・漕法は整調で決まることになる。また、整調は強い・上手いだけではなく、ボートの動きや水中の負荷からクルーの状況を常時感じて漕ぎやリズムにフィードバックして漕がねばならない。エイトの場合は整調の前にCOXがいるので、クルーの調子が悪い(水中の強度やバランス等)時は、必要に応じてCOXを介して後ろの漕手に修正すべき点を指示することも必要である。世界選手権等に出漕する一流漕手ばかりのクルーであれば、リズムの良い漕手を整調に据えれば良いのであろうが、クラブチームの場合には、整調次第でクルーの仕上がりレベルの甲乙が決まることが多い。この意味でクラブクルーのレベルでは、漕力・技術・リズムに加えて経験豊富なリーダー格の漕手を整調に据えるのが成功への早道である。整調は後ろの漕手が見えないので、日頃からCOXとコミュニケーションを良くして、練習強度やブレードワークを管理すると同時に後方漕手の指導をする必要もある。エイトに於けるバウペア等後ろの漕手にも重要な役割があるが、ここでは割愛する。

COXの役割:

クラブチームに於けるCOXの役割は多岐に亘るが、ここでは乗艇時の役割について述べる。

  1. 艇及び漕手の安全を確保すること:接触事故等を起こさぬ様に常時水路周辺をウォッチすること。(川や湖等で大型船舶と針路が交錯する場合には、こちらの針路を相手に明確に認知させるために、早めに大きく針路を変更して意思表示すること等)当然ながら、川での練習では必ず右側通行を遵守する。見通しの利かないカーブで逆コースをショートカットする「バカヤロー」クルーを時折見かけるが、絶対に逆コースを走ってはならない。(川を専有して、レースする場合を除く)
  2. 艇を真っ直ぐ進める:カーブのある川のレースでは、コースなりに最短のコースを取るべく針路変更する必要がある。しかし、レース本番は直線コースなので、蛇行せず、直進させることが最も重要な役割となる。おやじは長い漕暦の中で多くのCOXを見てきたが、エイトの場合、COXから前方が見にくいこともあり、身長と直進性に相関関係があると思っている。即ち、背の高いCOXの方が前方の見通しが利くので、背の低いCOXより艇を真っ直ぐ進める上で有利な様だ。(エイトで酷く蛇行するCOXは背の低いCOXに多い様だ。トップCOXの場合は身長は関係ない)何れにしてもボートを真っ直ぐ進めるためのラダーワークはCOXの必須条件であり、COXのラダーワークが原因の蛇行に対して、漕手は妥協してはならない。(良いCOXのラダーワークは漕手が育てるものである)
  3. クルーの状況を常時把握し、クルーにフィードバックする:要するにリアルタイムのビデオ代わりとなって、現況を漕手にフィードバックすることである。フィードバックには2つある。即ち、①バランスが崩れたり、リズムが悪化した時の原因を即座にクルーに伝えて改善を促すこと、②指摘したことが改善されたり、調子よく艇が走った時に「いいぞ、この漕ぎだ!」と良いことをクルーにフィードバックすること。
  4. 予め決めたメニューを正確に実行すること。
  5. 乗艇練習やレース時に必要な道具を日頃から整備し、持参すること。
  6. レースに於いては、予め決めた戦術を確実に指示して実行させる。また、時には勝負どころで臨時のイベントを入れるかどうかの判断を瞬時に行うこともある。(勿論、出艇前に臨時でイベントを入れる可能性があることをクルーに伝えておく)尚、余談ながら、レース中に無闇やたらと「足蹴り」を入れまくるCOXを散見するが、こういうクルーは厳しいレースでは勝てない。「足蹴り」を含めたレース中の戦術については、後日、別途考察したいと思う。
  7. レースで先行した場合は、COXは後ろが見えないので、整調からの状況指示に従い、逃げ切りを図る。

以上